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20080511~ 13と7と11の倍数の論理積は13と7と11の積の倍数である。 和ァ・・・
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昨日の日記でメモリスタという、4番目に発見された電気回路の受動素子について話した。

さて、電気で「記憶する機能」というと、僕はつい「摩擦力」のことを思い浮かべてしまう。

というのは、電気的な方程式と機械的な方程式の間には類似する点が多数あるからだ。

今、抵抗とコンデンサとコイルが直列になった回路を考えてみよう。
LCR直列回路

何らかの変動する電圧v(t)を与えて、抵抗RとキャパシタンスCとインダクタンスLの両端に現れる電圧の配分を考えてみたい。

これを表現するためには微分方程式を用いて

v(t)=Ri(t)+∫i(t)dt/C+Ldi(t)/dt

を満たす変動電流i(t)を求めることが回路解析につながる。

一方、電流i(t)は電荷q(t)の時間微分であるため

i=dq(t)/dt

と表現できる。iの代わりにqを用いると

v(t)=Rdq(t)/dt+q(t)/C+Ld2q(t)/dt2

となって積分項の代わりに2階微分が現れて解きやすくなる。




今回の目的はこの回路方程式を解くことではない。
機械的微分方程式との対比を行うのが今回の目的である。


LCR回路の機械化

図のように、質量mの物体が液体に入っていて速度に比例する抵抗を受けながらバネにつながれて振動している装置を考えてみよう。
バネ係数をk、抵抗力と速度の比例係数はrとし、何らかの変動する動力F(t)によって振動していると考える。

この運動方程式を考えると

F(t)=md2x(t)/dt2+rdx(t)/dt+kx(t)

という微分方程式を満たす位置x(t)を解くことで解析につながる。



どうだろうか、電気回路の微分方程式との対応が取れていることがわかるだろうか。

物理量を比較すると下の表のようになる。


電気   機械
インダクタンスL   質量m
キャパシタンスC   バネ係数k
電気抵抗R   抵抗r
電荷q   位置x
電圧v   力F
電流i   速度v


しかし、機械的な動きにはもう1つ、身近な要素がある。
摩擦力である。
質量mに加わる垂直抗力がNのとき、摩擦力Fは摩擦係数をμとして

F=μN

の関係で表される。

この摩擦力、不思議な性質を持っていて、速度が0になると摩擦力もぱったりと0になる性質がある。

そのために僕たちは1つの場所にとどまることが出来る。

実際、摩擦に相当する要素がない回路方程式の電荷qは、漸近的にしか変動を止めることが出来ず、電荷や電流を保持したいとなると、複雑な機構を持ったICの登場を待つほかなかった。


考えてもみてほしい。

指針型の温度計なら針の両側にストッパーを2つつけさえすれば
一日の最高気温や最低気温を簡単に記録することが出来る。
ログ温度計

しかし電気回路ではそう簡単にいかないだろう。
おそらく磁石による記録を用いるか、メモリとなるような何らかのICが必要になってくる。もはや電子回路である。


さきほどの機械的装置に摩擦の要素を付け加えると図のようになる。
LCR回路の機械化に摩擦をプラス

そして、運動方程式は以下のようになる。

F(t)=md2x/dt2+rdx/dt+kx+μN

Nはこの場合N=mgで代用可能。(gは重力加速度)



前置きが長くなったが、メモリスタの記事を最初に見たとき
「記憶する」という言葉から
僕は電気回路の摩擦に相当する現象が見つかったのだと勘違いした。

しかし、回路方程式で書くとわかるように、まったく異なる概念である。

電気:v(t)=Rdq/dt+q/C+Ld2q/dt2+Mdq/dt

機械:F(t)=rdx/dt+kx+md2x/dt2+μN

まさに名前のとおり、抵抗のような性質も併せ持っているので

(R+M)dq/dt

とまとめてもよい。
また、昨日の日記から、Mdq/dt(=Mi)はμNのような定数にならないこともわかる。



少なくとも今のところ、電気回路に摩擦のような概念がないことはわかった。

しかし逆に、機械的装置に、メモリスタに相当する概念は今後発見されうるのだろうか?


昨日の日記では磁束と電荷の関係がメモリスタだった。
機械的な概念にそれを置き換えると何になるだろう?
電荷は位置に相当する。

電荷の微分が電流であるように
位置の微分は速度である。

電気のほうに微分関係がもう1つあった。
磁束を微分すると電圧になるのだった。
逆に電圧を積分すると磁束になるのだから、
電圧に相当する力を積分すると、その量は出てくる。

運動量pだ。

メモリスタメモリスタの機械バージョン?


昨日の図と対比させても、
運動量と速度の関係が質量であるところもしっかりと対応している。

ただ1つ違う点は
電圧が磁束の微分の逆符号であることに対し
力が運動量の微分そのものである点だ。


ここで、メモリスタに相当する関係は、あるかないかは別にしても
位置と運動量の関係であることがわかった。


位置と運動量・・・
位置と運動量・・・
なんか誤差同士を掛け算したくなるようなカップリングである。



そしてカップリング戦争が勃発する・・・つづく。
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