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20080511~ 13と7と11の倍数の論理積は13と7と11の積の倍数である。 和ァ・・・
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遠い遠い未来、ある惑星に「線路上しか歩けない生物」がいました。
彼らは自らの種族を「電車人」と呼んでいました。
電車人たちの一日はとてものんびりしています。

会いたいほかの個体を目指して
会って
会話して
帰って
寝るだけです
ほかに何もありません。

電車人は意識してご飯を食べるということをしません。
常に頭の上の電線から電力がまかなわれているからです。
その電気エネルギーはどこかの発電所から来ていて
その発電所は過去6万年の間止まったことがありません。
意識して排泄することもありません。

電車人たちは時々、相手の電車人を食べるときがあります。
でもこれは食事ではありません。
どちらかというと繁殖行為に近いものです。
食べられた相手の意識は食べた電車人の意識に追加されます。
食べられた相手の体を構成する要素は食べた側の後ろに追加されます。

こうして長くなっていった車両を、時々切り離して別の個体にすることがあります。
分裂した車体の意識は、分裂する前の1つの個体の意識とまったく同一です。でも、その先の行動は違ってきます。

この惑星での電車人の人数は変化しません。

この惑星を縦横無尽に覆う線路にはいくつもの切り替えポイントがあり、
そのポイントを1つ1つ操作しながら
会いたい個体の元に向かいます。

電車人たちは景色を見ません。
電車の外がまっくらなので、見ることをしません。

電車人たちは生まれて引き継いだ記憶をすべて保持しています。
どうやら電線を伝った先に全個体の記憶倉庫があるようです。

記憶が確かなので、会いたい個体までの切り替えポイントを絶対に間違えません

でも、電車人たちは自分たちの住んでいる世の中を1次元だと思っているようです
自分たちの歩く世界が前と後ろしかないからです。
その上、電車人は後ろも知りません
友達と会ったあと帰るときは無意識に顔がお尻になって
お尻が顔になるので、いつも歩いている向きは前なのです

電車人たちは違う世界との交信ができます。
なぜできるのかは彼らにもわかりません。
異世界の人たちと話し、色んな理論を入手して、
自分たちで会話してその理論を遊びます。

でも、もらった技術のほとんどをイメージできません。
電車人たちには2次元空間さえ想像するのが難しいのです。
なので、数学で関数を習っても、数式の力でイメージするので精一杯です
同様に、マイナスの数も分数も無理数もわかってはいてもイメージできません
電車人たちは頭の中と相手との会話がすべてなので、モノを交換することをしません
なので、自分たちが何人いるかということはわかっても
モノを何人で分ける、ということを思いつくことができません
なので分数が現れる余地がありません

円をイメージできないので円周率をイメージできません。
関数がイメージできないので自然対数の底もイメージできません
実数と虚数の織り成す複素平面もイメージできないので
虚数の概念も虚数単位もイメージできません

円どころか、線と点以外のどんな形もイメージできないので、ピタゴラスの定理が出てくる余地もありません

後ろに下がるというイメージがないので、マイナスの数もイメージできません

仲間の数が常に変わらないので、ここからもマイナスの数がイメージできません

でも、頭はよいので数学の力を借りて表現することはできます。
もらった技術のほとんどは理解しています。
ただ、イメージだけができないのです。




電車人は、6万年前に「ある種族」によって作られた電車でした。
ある種族は自分たちを「人間」と呼んでいました。
人間たちは最初のうち、自分で電車を運転して、仲間たちを乗せて移動していました。
でもそのうちめんどくさくなって、操縦をすべて機械に任せました。
そうしたら電車に乗っていた客たちが「つまらない」と言い出しました
それまでの電車では、運転手と客がよく話をしていたからです。

なので、人間たちは電車の自動操縦部分に「感情」を追加しました。
こうして、感情を持った電車そのものと話すことで
客たちは満足しました。

それから140年が過ぎ・・・
人間は突然いなくなってしまいました
もちろん、別れ際に連絡はくれました。
でも、どうして別れなきゃならないのかは言ってくれませんでした。

人間たちは、電車人たちに「これから人間ナシで生きていける」ための準備を全部しれくれました。

エネルギー補給のための発電所を1兆年の1兆倍の1兆倍も稼動し続けられるようにしてくれました

会話の種がなくならないように、異世界との会話手段も一通り伝えてくれました。

自分たちの交配と分裂の仕方も教えてくれました。

そしていきなり、すべての人間たちが姿を消しました。




その惑星は、平らな地面と端っこがありました。
地面の下から、常に何かが出ていました。
常に何かが出ていたので、常に加速し続けていました。
そのおかげでその惑星の平らな部分は重力を一定に保つことができました。
人間たちはそうして、宇宙を旅してたのでした。
故郷の星を離れて140年しか経っていないので、よく覚えています。
そして、13万光年先で念願の移住先を見つけたので、用のなくなったこの惑星を後にしたのでした。
そして、その様子をずっと、新しい移住先から見守っていたのでした。



実はこの惑星にはほかにも生物がいました。
彼は自分を「線路人」と呼んでいました。
この惑星の線路が時々変化するのを電車人は知っていました。
でも、この線路までも生命体だったことに電車人が気づくまで
6万年かかりました。




電車人たちは異世界との会話を積極的に行っていました。
でも、自分たちのいる世界の誰かと会話することに6万年の間気づきませんでした。
6万年のあと、自分たちの世界の住民と会話した相手は「人間」でした。
そして「人間たちの姿を消した理由」を聞くことができました。
線路人の存在もそれで知りました。
自分たちの世界で会話できた相手は人間と線路人だけでした。
その世界にはほかに誰もいませんでした。





電車人たちは、自分たちの体のなかの仕組みについて6万年の間興味がありませんでした。
人間たちに教えられて初めて、興味を持ち始めました。
同時に、自分たちがいる世界の空間が少なくとも3次元あることを教えてもらいました。

人間たちが、電車人たちの思考部分を少し修正してくれたからです。
人間がそばから去って6万年、初めて、数学以外の分野の意義を理解しました。
会話していた異世界の住民もみんな祝ってくれました。
と同時に、どうして今まで理解できていてもイメージもせず
応用もしないでただ遊んでいたのかが初めて伝わりました。

でも、科学以外の分野の意義は理解できませんでした。
ほんの少しの異世界の住民が、社会とかそういう学問の話をしていましたが、
ほとんどの異世界の住民は社会という学問すら知りませんでした。

ずっと昔にそんな学問があったらしい
という異世界の人を見つけました。
異世界の人は一生懸命思い出して出来る限りの説明をしてくれました。
でも具体的な話を聞いてもさっぱり意義がわかりませんでした。
異世界の人たち自身、意義がわからなかったのですから。
そのうち、社会という学問は幻の学問として都市伝説になりました。

その数万年後、電車人たちを育ててくれた人間のもっと昔の生活を偶然発見できて、
彼らはまだ異世界通信をする技術がなく、こちらからはただ見てることしかできなかったのですが
それでもさっぱり社会という学問の意義がわからなかった
という話はまたいずれ




実は、自分たちのいる世界が3次元以上であることは人間たちよりも線路人のほうが先に教えてくれました。
線路人は1人しかいません。
その惑星を縦横無尽に伸びる線路が1個体なのです。
空間を把握しているので、線路人は3次元空間を知っています。
線路人は線路が手足で、電線が消化器官で、通信ケーブルが脳神経に相当します。
脳と手足と消化器官が常に同じところにあります。
発電所から伸びている電線から少しずつ自分たちに必要なエネルギーをもらって生きています。
でも実は、発電所も線路人の体の一部です。
光合成しながら考える植物のような感じです。


線路人も、電車人たちと話ができて嬉しいと思いました。
線路人も、異世界にはたくさん話し相手がいたのに
ずっと自分の世界では一人ぼっちでした。
でもそれまではそれが当たり前だったのでそんなに気になりませんでした。




1Gで加速し続ける惑星に乗って6万年
周りの世界では旅のはじめから570年後、つまりほぼ6万年前に、陽子からなる物質の崩壊が始まっていました
なので、今周りで生きている生物は誰もいなくて当然です
物質で出来ていない生物も見つけることができませんでした
人間たちとの会話も、陽子が崩壊する前の、つまりずっと昔の人間たちとの会話だったのです






この惑星は、コンピュータの中にあります。
線路人というのはコンピュータの中で自律的に進化するデータの流れの線のことです。
電車人や人間はその中のデータです。
このコンピュータの大きさは30cm
人間たちは一旦、自分たちの意識をデータに変換して
数kgの船に全員乗って1G加速を続けていたので
とても少ないエネルギーで加速を続けられたのです


このコンピュータの中での6万年は、
本当に外の世界での6万年だったのでしょうか
コンピュータの中の60万年が外の6万年だったとかいうことはないでしょうか
コンピュータの中の世界で電車人も線路人も滅びてしまってから
コンピュータを乗せた船が不慮の事故により大破してしまった場合
その世界の終わりを誰が感知するのでしょうか
あるいは中に誰もいないコンピュータはもう外からも誰が見ることもなく
それは本当に存在しているのでしょうか



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