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20080511~ 13と7と11の倍数の論理積は13と7と11の積の倍数である。 和ァ・・・
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年末だったか年始だったか忘れたが、
祖母の眼科に付き合ったときに眼科においてあるテレビで日食の特集をやっていた。


番組では、月が地球に落とす太陽光の影の移動を綺麗なCGを使って表現してくれた。
待ち時間の間退屈だったので、祖母とそれを眺めていたんだが、僕は祖母とぼんやり何かを話しながらも頭の中では別のことを考えていた。



遠近法で見ると、近くにある小さな月と、遠くにある大きな太陽が見かけ上同じくらいに見える。
だからこそ、太陽がギリギリ月にスッポリ隠れる日食という現象が起きるわけだが、地球から見た見かけの太陽と月の大きさがまったく一緒だったら、地球に落ちる月の影は大きなものにならずただ一点となり、皆既日食が起きる現場は非常に限られた地上の1ポイントになってしまうだろう。


皆既日食がある範囲で見れるためには、地上から見た月と太陽の見かけの大きさがまったく同じではなく、ごくわずかな大きさの違いがなければならない。
その大きさを計算してみたい。


家に帰ってから計算の試行錯誤が始まった。

ここに模式図を示す。
c42adb26.JPG





実際のスケールとは全然違うものなのだが、なにせ天文学的な物体なのでご了承いただきたい。

太陽と地球の間に月がある。
簡易的なモデルとして、太陽と月と地球の中心が同一線上に来たと仮定する。
地球の半径R1太い赤の破線で、地球の中心から月の中心までの距離R2太い青の破線で、地球の中心から太陽の中心までの距離R3太い緑の破線で示した。

また皆既日食が見える範囲の直径x1太い赤の縦線で、月の直径x2太い青の縦線で、太陽の直径x3太い緑の縦線で示し、
月の影の大きさが0になるポイント(以降「焦点」と呼ぶ)から地球表面までの距離L1太い赤の横線、焦点から月の中心までの距離L2太い青の横線、焦点から太陽の中心までの距離L3太い緑の横線で示した。

三角形の相似から、それぞれの色の縦と横の実線長さの比は一致している。

x1/L1=x2/L2=x3/L3


L系の長さは基本的に未知で、R系の長さは既知であるので、L系とR系の関係は

L1-R1=L2-R2=L3-R3

の関係が図から読み取れる。

これらの関係式から、求めたいものはx1の値である。

未知の変数はx1とL1、L2、L34つ、既知の変数はx2、x3、R1、R2、R3の5つに対し、イコールは4つ、未知の変数の数と式の数があっているので連立方程式としては解けそうである。

これをがちゃがちゃして解いていくと
x1=(x3(R2-R1)+x2(R1-R3))/(R2-R3)

近似すると
x1=x2-(R2-R1)x3/R3

となる。
このx1の式に既知の変数
月の直径:x2=3474.8km
太陽の直径:x3=1391000km
地球の半径:R1=6378.1km
地球-月間距離:R2=384400km
地球-太陽間距離:R3=149597870km

を代入すると、影の大きさx1=-40kmと出てしまう。

影の大きさはマイナスになりえるのか?
マイナスの影の大きさとはどんな意味か?

ここで下の2つの図を見てほしい。
01c4c483.JPG










僕は当初、焦点が地球の内部に位置するとして計算していた。
だから影の大きさはプラスである。

しかし、太陽がより近く、焦点が地球と月の間に来た状態でも影はでき、日食は起こりうる。
影の大きさがマイナスというのはこういうことを意味していたのだ。


実は、このような状態で見れる日食は金環日食というらしい。
僕は皆既日食の影の大きさを計算しようとして、図らずも金環日食の影の大きさを計算することになってしまったらしい。


これでは皆既日食の影の大きさを計算できない。
何がいけなかったのか。
地球が楕円軌道であることを考慮していなかったのだ。
太陽と地球との距離を平均値で与えてしまっていた。
これを天文単位と呼んでいるらしいのだが、
地球が太陽からもっとも遠くなる距離は1.017天文単位
もっとも近くなる距離は0.983天文単位

実にたったの1.7%しか違わないのである。
それを考慮して再計算してみると

太陽から近いときは101kmの影の金環日食
太陽から遠いときはわずか19kmの影の皆既日食として算出できることがわかった。
(実際は皆既日食も金環日食も見れる範囲はもう少し大きいらしいく、それぞれ260kmと390kmくらいらしい。地軸の傾きを考慮に入れるとそのくらいになるのだろうか)


太陽と月の見かけの大きさがほぼ同じなのはすごい偶然だと認識していたが、
見かけの大きさが太陽のほうが大きくなったり小さくなったりするほど絶妙な関係だったとは思いもしなかった。

あと少し地球が太陽より遠ければ金環日食しか見れなかったわけだし
逆であれば皆既日食しか見れなかったわけである。

月の大きさ、太陽の大きさが少しでも違っていてもそうなるだけでなく、日食が見れること自体が奇跡的な偶然であることも考慮に入れなければならない。





月がこのような大きさと距離であったことは定説では「巨大天体の衝突」による偶然的なものであり、それでいて潮の未知引きや地球の地軸の安定化など、生命にはとても大事な要因であった。

また太陽がこのような大きさと距離であったことも定説では太陽系誕生時のガスの量しだいで非常に偶然的なものであり、それでいて水という「液体が固体より重い」奇妙な物質が液体でも気体でも固体でも存在できたことなどに影響し、生命にはとても大事な要因であった。


生命が存在できたことと日食が皆既・金環どちらも見れるということは一見なんのつながりもないように見える。

したがって地球外生命体が人類のほかにいたとすると、その環境に日食やそれに類似した、あるいはまったく別の何らかの絶妙なバランスによるイベントめいたものが発見できる確率は・・・地球人中心のデータからはなんともいえないが、きわめて低いんじゃないかと思えてくる。


だとすると、この宇宙のこの環境で人類が生まれたことは本当に偶然だったのかと問いたくなるのも必然であり、もし必然だったとすると地球外生命体は同じような偶然的イベントを体験しているべきか、あるいはそんなやつらはまったくいないか、のどちらかだと思いたくなるものではないのか。



まさに、人間中心から人間端っこの宇宙観というコペルニクス的転回を
もう1度戻すというコペルニクス的逆回転が起こりうるのではないか
という気さえしてくるから恐ろしい、いやワクワクするではないか。



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